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クレーム対応

クレーム対応

 クレームには様々な種類のものがあります。
 しかし、その様々なクレームには、①相手方が不満をもっていること、②紛争の初期段階であることといった共通の性質があります。
 したがって、クレームに対し適切に対処することで、①相手方の不満を解消し、②紛争を初期段階で解決できるという効用が期待できるということになります。
 もちろん、不当な要求には応じるべきではないことは当然です。
 クレーム対応の段階で専門家のアドバイスを受けるということは、リスクマネジメントの点から、非常にメリットが大きいことです。
 当法律事務所では、専門チームにより、クレームに対応しています。

Q&A

こちらに不手際があり、患者を外来で1時間待たせてしまいました。
迷惑料として、お金を要求されており、弁護士のところに行くと凄まれています。どのように対応すればよいのでしょうか?
 医療機関は、様々なバックグラウンドを持った患者が多数訪れるため、他の施設と比較してもクレームが発生しやすいといえます。クレームに対しては、法的根拠の有無に基づいて対応することが基本です。不手際があったことについては医療機関としても反省すべきですが、それによって直ちに患者に法律的な意味での損害賠償請求権が発生しているとは限りません。患者の要求に法的な根拠がなく、不当なクレームと評価される場合には、金銭の支払いは拒否しなければなりません。
 一般に医療機関はクレームへの法的対応に慣れておらず、支払うべきではない金銭を支払ったり、支払うべき金銭の支払いを拒否しているケースも見られます。また、クレームであると軽視していたところ、患者が代理人弁護士を選任してくるケースも稀ではないようです。
 患者のクレームに対しては、まずは、弁護士にご相談いただき、法的根拠の有無をご検討される必要があります。
患者が、看護師の言葉遣いがなっていないとして看護師を殴り、看護師が全治1週間の怪我を負いました。
このような場合に警察に通報してもよいのでしょうか?
 仮に、患者が不快に思われるような言葉があったとしても、暴力は許されることではありません。医療機関としては毅然として対応すべきであり、看護師さんが怪我を負っていることからも警察への通報や被害届の提出を検討すべきです。
 院内暴力への対応は、特に緊急事態での行動、連絡先等について院内で指針等を作成し、周知徹底しておく必要があります。院内での指針・対応が不十分であったがために、医療機関と、院内暴力被害を受けたスタッフとの間での紛争に発展するケースもあるのです。
 当事務所では、医師資格を持ち臨床経験をもった弁護士、大学病院に出向した弁護士が所属しており、医療現場の実態を踏まえ、スタッフを守るための院内指針の作成等につきましても助言をさせていただいております。
患者が、病棟で受け持ち看護師に対し、体を触る、卑猥な言葉を言う等のセクハラ行為を繰り返しています。
病棟のリーダーや責任者の医師からも注意しましたが一向に改善されません。今後、どのように対応していけばよいでしょうか?
 職員に対して迷惑行為を行う患者に対しては、毅然として対応する必要があります。責任者から口頭で注意を行い、なおも改善されない場合は、「これ以上迷惑行為を繰り返すのであれば当院での治療はできない」という趣旨の警告文書を渡すことも検討してよいと思われます。
 ただし、診療の拒否は医師法19条1項の応召義務の問題とも関係するため、患者の迷惑行為の内容、頻度、口頭注意の状況、改善の有無、程度、患者が当該医療機関において治療を受ける必要性緊急性等様々な事情を考慮する必要があります。弁護士にご相談された上、警告文書の内容、渡し方についても慎重な検討が必要です。
夜間、胸の激痛を訴えて救急搬送されて来た患者で、すぐに入院してもらい、治療を受ける必要がありましたが、
仕事があるため家に帰ると言って聞きません。言うことを聞かない患者をそのまま家に帰しても問題ないでしょうか?
 後に問題となる場合があります。
 診療行為を拒否する患者について、その意思に従って帰宅を認めた場合、万が一患者に有害事象が発生した際に、医師から、病状や、治療を受けないことによるリスクについて十分説明を受けていなかったとして、紛争となる可能性があります。
 医師、医療機関として治療をすべきと考えるのであれば、まずは粘り強く説明、説得し、説明説得したことを診療録等に記載しておく必要があります。
 例えば、千葉地方裁判所平成24年6月15日判決の事案では、急性冠症候群であるにも関わらず入院を拒否して帰宅した患者が、心筋梗塞で死亡し、裁判となっています。結果的には医療機関側が勝訴していますが、このよう裁判が起こりうることも念頭においた危機感を持った対応が求められています。
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